先日、友人と山道を歩いていたら、そんなことを聞かれた。

上野千鶴子さんの『おひとりさまの老後』を読んでいる真っ最中だったので、思わずこう答えた。

「できれば夫に看取ってもらいたいけど、たぶん夫が先だろうから、ひとりになる心構えでいないとだよね。せめて老後の家を確保して、お金の心配がないようにしておきたいよね」
(と、思いっきり上野さんの著書まるパクリな回答…)

すると、「いや、そんな先じゃなくて、これから10〜20年ぐらいのこと」とのこと。ついつい先走ってしまった汗。

となると、10年後で52(!)、20年後だと62(!!!)。そういえば、はじめてソウルで暮らし始めたのはちょうど10年ぐらい前だったっけ。

この10年で、
通訳案内士の資格をとり、
韓国語を学び、
大学院を卒業し、
日本に戻って横浜で暮らし始め、
通訳案内士の仕事を始め、
ふたたびソウルにで暮らし始め、
コロナ禍になり、
ライターの仕事を始め、
人材系スタートアップでの仕事を始めた。

この10年で、
息子は保育園を卒業し、小学校に入学し、来春には中学生になる予定で、
夫は3回転職をし、ガチのランナーになり、魚をさばくようになり、
両親は還暦を迎え、長年営んだ金物屋さんを閉じ、引退生活に入った。

わたしにも家族にもいろいろな変化があった。うわ、なんだか突如感慨深くなってしまった…。そして、これからの10〜20年かあ。

コロナ禍になって仕事がなくなったことで、収入がないことに耐えられないのは身に沁みて理解した。から、もうそういう状態に陥らないようにしたい。これが最優先事項かも。40代に入り、この先現役世代として働いていられる時間が限られていることを痛感するようになったので、なおさらそう思う。

収入を得て、自分のことにお金をもっと使えるようになりたいし、家族の一員として経済面でも責任を持ちたいし、将来(というか老後)の備えにもあてたい。それから、両親が元気でいられるうちに、もっとできることをしたい。美味しいものを食べに行ったり、旅行に行ったり、なにかプレゼントしたり。そういうときにちゃんとお金を払いたい。

コロナ禍以降の帰省では両親に甘えさせてもらった部分が大きく、それは結構堪えた。収入がない状態がつづくことで、自己肯定感のようなものがどんどん削られ、自分への信頼も薄れていくのが本当にしんどかった。

ので、ここからできる範囲でキャリアを再構築していくことがいまは一番大事かも。息子も来春中学進学で、これからますます彼自身の世界を広げていく段階に入るタイミングでもあるし。

でも、キャリアという単語がこれまでとちがう意味合いを帯び始めたことにも、最近気付いている。

これまで、わたしはキャリアにとても多くのものを求めていた。収入面はもちろんのこと、やりがい、仕事を通して身に付くスキル、経験、社会的なつながり、やりたいことの実現、社会貢献、などなど。でも、いまはもっと冷静というか、以前より醒めた気持ちで捉えるようになりつつある。

キャリアが収入を得る手段以上のものであることには変わりないけれども、自分のスキルや経験、強みを最大限生かせる場に身を置き、よりよいパフォーマンスを発揮することができることこそが大事で、そのほかのことは満たせていたらよりいいけれど、必須ではない、と思うようになった、かも。

やりたいこととか、ひととのつながりとか、社会貢献とかは、なにもかもをキャリアを通じて手に入れなくてもいい。

たとえば社会貢献はなにも自ら身体を使うばかりが方法ではなく、きちんと収入を得て、そこから大事な活動をしてくれているNPO団体や社会的企業に寄付をするのだって、立派な社会貢献だと思う(というかむしろ相手が必要としてるスキルやコミットメントや時間を提供できない場合、それが最も有効な支援だろうし)。そもそも、ビジネスというのは根本的には社会に貢献しているから成立しているのであって、仕事というのはなんらかの形で社会における役割を果たしているということでもあると思うし。

これまでは、なにもかもをキャリアに求めすぎていたがゆえに、キャリアを重要視しすぎていたように思う。重要視というか、神聖視の域にいっちゃってたのかな。

考えが変わったのは書く仕事にある意味挫折したからでもあるし、収入がないことのメンタルダメージを散々痛感したからでもあると思う。

とはいえ、あくまでいまのわたしにとってしっくりくるっていうだけであって、時間が経てば「収入より断然やりがいでしょ!!!」ってなってるからかもしれない。キャリア観なるものがひどく流動的であり、かつキャリアなるものも常に変わりゆくものであるというのも、この2年弱で痛感したことのひとつ。

と、いつもながらつらつら思うままに描いてみました。そろそろ寝ようと思います。ではでは、おやすみなさい〜。
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